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<まとめ>韓国の朴槿恵大統領がダメなこれだけの理由

韓国の朴槿恵大統領がダメなこれだけの理由


 外国の国家元首を、他国の人間が批判することは気が引ける。その国家元首を選挙という正当な手段で選んだ国民まで批判してしまうのではないかと思ってしまうためだ。しかも、私事で恐縮だが、記者はその国に留学し、多くの人から親身に接してもらった経験がある。だが、今回ばかりは、どう考えてもおかしい。
 韓国の朴槿恵大統領のことだ。韓国・中国に批判的な人からすれば、「何をいまさら」だろう。しかし、どんなにひいき目に見ても、最近の朴槿恵大統領は他国の指導者ながら、心配になってくるほど迷走している。

■ 大統領就任以来、迷走に次ぐ迷走
 就任して以来の韓国政治、朴大統領の迷走ぶりを、以下に見てみよう。
 まず政党の解散を求めたことだ。2014年12月19日、韓国の憲法裁判所(最高裁判所に当たる)は韓国政府が「違憲政党審判」を請求していた統合進歩党に対し違憲判決を下し、即日解散を命じた。韓国の憲政史上、政党に解散を命じたのは初めてだ。

 憲法裁判所は同党が「北朝鮮式社会主義」を目指していると判断、党員には北朝鮮を支持する構成員が多く、彼らが過去、(北朝鮮の)金日成主義=主体(チュチェ)思想の普及を目論んだというのが解散の根拠になった。言論の自由、結社の自由を標榜する民主国家が、どんな政党であれその解散を命じるのは非常に珍しい。しかも、世界的な基準からみると、政党解散を命じる憲法裁判所の判決に正当性がないとまで指摘されている。




 言論の自由に対する考え方も問題だ。朴大統領に関するスキャンダルを書いたとして、外国メディアの該当記者を名誉毀損で訴えたのである。その産経新聞ソウル支局長は起訴され、裁判が進行中。支局長は出国も禁止され、4月にようやく出国禁止が解かれた。ほかにも、国内の批判的な報道には、裁判という手段を乱発、「言論の自由」についての理解があまりにも少ない大統領として、海外でも批判の声が上がっている。
また、2013年2月の就任以来、大統領が「任命同意案」を国会に提出し、国会が可決した後にその者を任命する手順を経る「国務総理」(首相)が相次いで辞職に追い込まれている。

 元憲法裁判所長の金容俊(キム・ヨンジュン)氏を朴政権初代首相に指名したが、息子2人の徴兵忌避と不動産投機などへの不正疑惑で辞退。そして元釜山地方検察庁長の鄭?扶原(チョン・ホンウォン)氏が首相に就任したが、2014年4月のフェリー事故の責任を取り辞意を表明。それを受けて、大法院(最高裁)判事だった安大煕(アン・デヒ)氏を指名した。

 ところが、安氏が弁護士だった時期に弁護士の報酬としてはふさわしくない巨額の報酬を受けていたことが問題視され、これも指名を辞退。次に指名された文昌克(ムン・チャングク)氏は韓国の有力紙『中央日報』の主筆を務めた人物だったが、過去に日本による植民地支配や南北分断は「神の意思」 と発言したことが問題視され、これも辞退。結局、鄭首相の留任を発表せざるをえなかった。
 2015年1月、ようやく与党・セヌリ党院内代表の李完九(イ・ワング)氏を指名し2月に就任したが、4月になって建設会社からの不正資金疑惑が発覚、辞任した。どんな政治家を指名しても、カネなどの不正がまとわりつく。「韓国首相には、もう宗教界から指名するしかないのではないか」との冗談めいた言葉も出ているほどだ。

■ 朴政権を根底から揺るがすスキャンダル
 李完九前首相が辞任するきっかけとなったのは、政界と強いパイプがあった韓国企業の前会長が自殺する直前に残したメモだった。ここには、朴政権の大統領府の秘書室長3人、2012年の大統領選で朴陣営の選挙対策本部幹部などをつとめた8人の名前が記されており、一大スキャンダルに発展。朴政権を根底から揺るがすスキャンダルとして、その火は収まっていない。
 こうした大スキャンダルが発覚した中、朴大統領は4月16日から27日まで、南米4カ国への外遊を続けた。なぜこの時期に南米を訪問するのか、その目的はよくわからないものだった。

 このスキャンダルだけでなく、2014年に300人以上の死者を出したフェリー事故1周忌を迎え、関連行事が相次いで行われることはわかっているはずなのに外遊を強行した。しかも、事故現場での追悼行事に当初は不参加を表明。外遊直前、それまでの批判を意識したのか、行事当日になって隠れるように追悼行事に参加したものの、遺族たちからの強い反発を受けた。
他の閣僚も関連行事に参加することをせず、当時の李完九前首相が別の追悼行事に足を運んだものの、これも遺族からの反発を受けて門前払いを食らっている。帰国後、李完九首相の辞任を「遺憾に思う」と発言。まるで人ごとのような発言に、韓国メディアからは、大統領自身の責任も行動も振り返らず、まるで別人が話している朴大統領の「幽体離脱」発言とまで言われる始末である。

 朴大統領の不可解な行動のうち、もっとも理解できないのが、このフェリー事故に対する態度だ。2014年4月、韓国・仁川港から済州島行きのフェリーが沈没。乗員乗客476人のうち死者295人を出した。死者のうち、250人が修学旅行中だった高校生という痛ましい事故だった。
 また、乗員・乗客9人がいまだに行方不明のままである。事故発生当時、救助活動や救援体制の不備で政府が強い批判を受け、朴大統領も涙を流して謝罪声明を出し、その後の政権運営にも多大な支障を来した事件だった。1年後に追悼行事が行われることはわかっているはずなのに、前述のように南米外遊を実施した。すでに、あの時の苦労も、あの時の涙も朴大統領は忘れてしまったのだろうか。

■ 遺族の抗議集会を放水により解散
 さらに、フェリー事故の遺族や行方不明の家族らが中心となってソウル中心部で開いた集会に、解散を命じた警察が放水車による放水という強硬手段をつかって解散させたことだ。
 しかもその水の中には、催涙性のある物質を入れていた。程度の差はあれ、1970年代、1980年代の民主化闘争の際に、時の軍事政権が乱用した手段を彷彿とさせるものだ。これが、言論の自由、集会の自由といった民主主義国家を標榜する国のやり方だろうか。
 「国民の目を見て話さない、大統領の“不通”(プルトン)が出ただけ」(韓国紙記者)。「不通」とは韓国人が朴大統領の姿勢を揶揄する言葉で、「コミュニケーション力がなく、発する言葉に中身がなく心もない」という意味だ。

 だが、記者はかつて朴大統領のそのコミュニケーション能力に非常に驚き、賞賛したことがある。朴大統領が野党代表だった2000年代、国会議員選挙や地方選挙を走り回って支持を訴えていた。ソウル市内で彼女の演説を実際に聴いていたが、当時、彼女は言葉を選びながらも確実に有権者の心をつかむ言葉をつかって真摯に話をしていた。野党不利という下馬評を覆して善戦、あるいは勝利へ導いた言葉の力は本物だと思っていた。当時の朴大統領の別名は「選挙の女王」。だが、今ではまさに不通である。
 「政治も社会も右向け右-拡大する韓国の右派」。こんな刺激的な見出しで韓国政治・社会の今を描写したのが、韓国の全国紙『ソウル新聞』が日本で発行する月刊のフリーペーパー『TeSORO』(テソロ)だ。2013年に創刊され、発行部数は2万部。同紙4月号には、韓国政治だけでなく韓国社会も右傾化している状況が赤裸々に記されている。その一端を紹介してみよう。
 2014年11月、日本の植民地時代から解放された直後の1946年に作られた「反共」を標榜する青年団体「西北青年団」が再結成された。
 朝鮮戦争が勃発した1950年前にはほぼ消滅したが、それまで「アカ狩り」を叫びながら暴行や暗殺、事件扇動などを実行したテロ集団とも言える団体が、21世紀になって突然復活した。かつてのような暴力・テロ行為は行わないまでも、「北朝鮮に追随する左派を根絶やしにする」というスローガンを、今でも掲げている。
 2014年12月、北朝鮮への訪問経験がある韓国系米国人のシン・ウンミさんが釜山での講演会の進行中、シンさんの言動はあまりにも北朝鮮寄りだと考えた高校生によって手製爆弾を投げ込まれた。
 シンさんは訪朝経験を元にネットメディアに『米国同胞おばさん、北朝鮮に行く』を執筆、後に書籍化され多くの読者を獲得した人物だ。手製爆弾では、シンさんには被害がなかったものの、講演会の主催スタッフが大きなやけどを負った。シンさんの著書は韓国政府が「優良文学図書」に指定したほどのものだったが、この事件以降、「親北朝鮮だ」との彼女に対する批判が強まると指定を解除。さらに「北朝鮮を利するような活動」と判断され、司法当局により国外退去処分にされた。表現の自由は、やはり韓国にはないらしい。

■ ネットの言論も右傾化
 ネット上でも右傾化が進んでいる。2010年にオープンしたコミュニティサイト「日刊ベスト貯蔵所」は、今では韓国語で「イルベ」と呼ばれるほど人口に膾炙した存在になった。日本で言えば、「2ちゃんねる」のような存在だろうか。
 ここでは、「(韓国の)民主化運動や特定地域をおとしめたり、全斗煥の軍事政権に反対した(1980年の)5・18光州民主化運動を否定する。あらゆる社会的な摩擦を起こしている」(ソウル新聞の李成源記者)。イルベの登場は、若い世代の極右化を意味すると認識され、今では大学生の間で保守系団体が数多く登場しているようだ。
 このイルベに触発された若者が、さまざまな奇妙な行動を起こしている。上述したフェリー事故の犠牲者遺族に対しても、彼らの攻撃は容赦ない。ネット上では、20歳の青年がフェリー事故で犠牲になった高校生たちを「死んでよかったね」といった意味で揶揄する行動を写真に撮ってアップロードし、強い批判を浴びた。
 2014年9月には、フェリー事故遺族がソウル市内で真相究明のためにハンストを行っている目の前で、イルベユーザーが「暴食闘争」と称しピザを食べるという、まさに子どもでもやらないような行為を働いた。
 特にフェリー事故の一件では、事故処理を行う政府と被害者遺族との溝がますます広がっている。決着にメドを付けたい政府の処理のやり方を、遺族たちは「真相が何なのか、まったくわからない」と嘆く。同時に、フェリー事故を起こした船長など乗員に対する裁判が進行中。すでに4月末の控訴審で、船長には殺人罪が適用され無期懲役の判決が下された。だが、なぜあんな事故が起きたのか、遺族たちは納得できていないままだ。

 そんな遺族に対し、「賠償金目当てだ」「(ある特定地域の)出身者が多いからゴネている」と、前述したイルベをはじめ保守的な層から批判が繰り返されている。
 ある在日コリアンは韓国の友人が「何億ウォンもの賠償金目当てで、遺族はごねている」と強弁し、とても呆れたと打ち明ける。さらに「犠牲者は貧乏なやつらだからフェリーで行ったのだ。自業自得だ」という声も少なくない。カネ持ちの子どもたちが通う学校なら、修学旅行も飛行機で行くはず、というのだ。だが、「あのフェリー路線はどこの高校生も修学旅行で使う路線。貧富の差などなく、修学旅行の定番路線なのに…」(ソウル市内の高校教員)。
 「自分の子どもが死んだというのに、どうしておとなしくしていられましょうか。事故原因などの政府の説明のなかで納得いくものはひとつもありません。政府がきちんと動いてくれれば、私たちだってこんなことを続ける必要はありません」(事故犠牲者の父である李南錫さん、『TeSORO』2015年1月号)。
 立場が変われば、韓国国民の誰もが、李さんのようになっていたかもしれない。ある韓国人は、「数百人単位で犠牲者が出た事故では、自分に関係する人の誰かが何らかの形で関係している人が多い。自分も友人の友人の子どもが犠牲者だった。それほどの大事故だったのだ」と打ち明ける。
 韓国に生活したことのある日本人なら、韓国人に対してほぼ「情が深い」という印象を持つ。だが、今の韓国の大統領は、遺族の気持ちを受け入れ、寄り添うような人物ではないようだ。「大統領になるのが最終目的だった大統領」。そんな指摘も出てくる中、国民の痛みがわからない政治家と言われても仕方がないように思える。
 このような韓国社会の実状を紹介した『TeSORO』の編集長で、『ソウル新聞』東京支局の黄性淇(ファン・ソンギ)支局長は、(上述してきたような)韓国政治・社会の右傾化と、「ネトウヨ」「ヘイトスピーチ」などに代表される日本のそれと決定的に違うことが1つあると指摘する。
 1998年に東京特派員として赴任して以降、日本での取材・生活経験が長い黄支局長は、日本の実状をもよく知るジャーナリストの一人だ。そんな彼は、大韓民国建国以来、あるいは日本の殖民地から解放されて以降、現在も続く「イデオロギー対立」こそ、韓国内の混乱を生み出しているのだと紹介する。
 「民族が南北に分断され、その分断が親日・反日、親北朝鮮・反北朝鮮の対立構造を生みだし、それが根深く現在まで続いている。朝鮮半島の南側では資本主義国となったが、その国で生きていくためには“反共”というイデオロギーが先行した。右寄りのイデオロギーで物事を語らないと“親北”と見なされ、韓国社会から除外されてしまうためだ」

■ 南北統一をできていないため右傾化しやすい
 だからこそ、韓国は容易に右傾化しやすいのだ、と黄支局長は言う。大韓民国建国の1948年前後から、独立問題、朝鮮戦争という同族同士の戦争、軍事政権の樹立、労使対立、民主化……。韓国ではどの国でも発生しうる問題が、それほど長くはない期間に一度に噴出した。経済発展の過程で少なからず起きる問題をすべて韓国は経験してきたと言っても過言ではない。
 1987年にようやく民主化を達成したが、それから28年。それでも右傾化をはじめ政治・社会の対立が生じてしまうのは、「南北の理念の対立が解決できていないから」(黄支局長)。すなわち、まだ南北統一がなされていないことが原因ということだ。
 しかも、「国家保安法」の存在も韓国では重い。1948年に制定された同法、治安維持立法の一つであり、反共イデオロギーを実現するための装置とされてきた。前述した統合民主党の解散、シン・ウンミさんの事件はともにこの法律が関係している。だが、北朝鮮の脅威がすでに当時ほどの脅威ではなくなり、韓国がすでに民主化された今、表現の自由など基本的人権を侵害するものだとして反対も根強い法律が、韓国には根深く存在する。
 そのような状況においてこそ、トップの大統領が様々な階層や意見を調整し、収斂させていく能力が必要とされる。民主化・民主主義が進めば進むほど、そのような調整能力を持つ者が韓国のような国家のトップに立って行うべきだが、「不通」の大統領にそれを求めることができるだろうか。あるいは、南北対立という朝鮮半島の歴史という重みの前には、どんな韓国人でも解決に対しては無力なのだろうか。
2015年5月5日(火)4時50分配信 東洋経済オンライン  福田 恵介

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by love_kankoku | 2015-05-14 01:08 | 政治・経済(1341)